2003/09/17

 岡崎(縁もゆかりもない土地ですが、その地名には親近感を禁じ得ません 笑)から、まずは豊橋を目指します。岡崎ICのあたりが自動車中心の道作りになっていて、自転車走行者は大変分かりにくい迂回をさせられるのが鬱陶しく感じられます。ここから久しぶりに軽い峠越えです。峠のピークにある元宿駅と前後区間の道には見覚えがあります。確かに前回もこの風景の中を走った気がします。駅寝したのはこの駅だったか、あるいは違ったか…。前回の行程を考えるとこのポイントを通過したのは夕刻前だったはずなので、少し記憶に混乱があるようです。その頼りない記憶を信じるなら、この後は楽チンの下りだったはずです。地図もその記憶を裏付けています。更に記憶では音羽地区あたりの自販機コーナーで休憩を採ったはずと思ったのですが、それっぽい風景には出会ったものの、結局ポイントを特定できるには至りませんでした。長沢地区付近で工事のために余計なアップダウンを強いられた(主車道ではなく併走する住宅道を走らされた)のが、再びブルーでした。
 途中、愛車から軋むような音が聞こえるのに気づきます。走行には別に異常ないのですが、何かおかしい。下乗して愛車を眺めると、リアキャリアの留めネジが片側はずれ、ブラブラしてるじゃないですか。キャリアには当然荷物を積んでいますから、そりゃあ軋みもするはずです。しばらくは片側支持だけで走ってたわけで、自転車機能そのもののトラブルでないとはいえ、これが修理不能な状態となっては旅行も続けにくくなることを考えるとあまり能天気でもいられません。とはいえ手持ちの部品もありませんから、自転車屋にたどり着くまで騙し騙し慎重に走ることにしました。どうも今回はネジのトラブルに付きまとわれます。オーバーホールが裏目に出た格好です。

 豊橋へは大体予定通りの時間に着きました。かなりお腹が空いていてさっさと食事を採りたかったのですが、まずはキャリアを直しに自転車屋を探します。道行く人に教えてもらって訪ねるのですが、何故かこの日はお休みの店ばかりなのです。何軒か渡り歩いた末、終にはお休みのところ無理を言って直してもらいました。助かりました。
 ようやく昼飯です。豊橋の駅前は割と賑やかで、お店もいろいろあるのですが、やはり絞り込めません。というのも、無意識の希望で、いわゆるファミレスタイプのお店を求めてしまうのです。何分ずっと自転車をこいで疲れてますので、食事時くらいゆったりとした空間で休みたいのです。ところが都市の駅前というのは忙しい地域なので、なかなかゆったり出来るようなお店はみつかりません。仕方なく豊橋駅前を離れ、ペコペコのお腹を抱えたまま先へ進むことにします。40分も走ってようやく、国道沿いのデニーズを見つけ、ようやく昼食にありつきました。

 昼食を終えると一路、この日の目玉中継ポイント浜名湖を目指します。前回旅行時は豊橋あたりを夕方に通過し(途中銭湯に立ち寄ったのですが、それと思しき銭湯を今回も見かけました)、翌日は浜名湖で一日を過ごしたはずです。ということは、浜名湖手前で一泊したのでしょうか。ちょっと記憶があやふやです。
 浜名湖までは国道1号線ではなく県道豊橋湖西線を選びました。国道1号線は海岸沿いまで余計な迂回をしていて、どうも周辺状況が自転車向きではなさそうな気がしたので。選択した県道は適度な広さでなかなか快適に走れたのですが、途中上の原のあたりで道を間違ってしまい、右往左往余計な回り道をさせられました。このあたり県道はやはり難しいですね。

 いよいよ浜名湖です。ご承知の通り浜名湖は海と繋がっていて、これを東側へ越えるのに橋を渡ります。この区間約4km、自動車も自転車も歩行者もそして新幹線も、各々細い橋の上を近い距離で並走するのです。旅情満点で、東海道の見所の一つだと思います。ここを通らずに浜名湖を迂回するとなると相当遠回りになります。新居に関所が置かれたのもごく自然なこととうなずけます。
 新居関跡から少し東に新居町駅があります。この駅。確かに見覚えがあります。駅だけじゃなく、向かいの噴水など周辺の風景にも。前回旅行でこの駅に立ち寄ったのは間違いありません。というか、前回駅寝したのはここだったかも知れません。駅入り口にはそれっぽいベンチもあります。しかし確信は持てていません。こんなに浜名湖に近いところだったろうか…? そんな早い時間に浜名湖を越えたろうか? やはり10年も前の記憶は相当不明瞭です。
 浜名湖を渡る橋の上で、今回の旅で初めて、お仲間を発見しました。いかにもな荷物を積んだMTBが前を走っています。疲れが出ているのか、それともこのあたりに何かお目当てがあるのか、私と比べても明らかにペースがのったりしています。何か声をかけづらい雰囲気だったので、軽く挨拶だけしてさくっと追い抜いてしまいました。

 浜名湖を越えて、1号線ではなく県道316号線〜国道257号線を走ります。行程4日目とあって、この時間に早くも疲れが出ています。ひとまずは浜松市街手前のファミレスでじっくり休養をとることにしました。
 ここで、この後のコース取りを検討します。というのも、浜松〜静岡間のコース取りをまだ決めていなかったのです。掛川経由の1号線沿い山越えコースか、浜岡経由の150号線沿い海岸線コースかで迷っていました。この区間のことは良く覚えていませんが、前回は前者だったはずです。後者はやや遠回りになりますが、地図で見る限り静岡までほとんどアップダウンなく行けそうです。正直自分の脚力にはあまり自身がありませんし、余計なところで体力を消耗しても仕方ありませんので、今回は海岸線コースをとることにしました。無理に掛川を越えても、見たいところがあるわけじゃないですしね。それなら、海岸線の方が開けていて気持ちいいでしょう。となると、この日の泊まりは浜岡町に決まりです。この時間からだとちょっと到着が遅くなりますが、途中にめぼしい町もなさそうなので仕方ありません。出来るだけ距離も稼いでおきたいですし。浜岡といえば原発で有名な町ですね。折りしも、ある民間学者がFM放送電波を使った観測から数日中の東海大地震の可能性を指摘していました。今回の旅行自体がその時期にピッタリ一致していて、それでなくてもある種の覚悟を持って臨んでいたところ、予測期間のど真ん中で原発の町に宿泊するのは、実はかなり腰の引けることでした(コース選択に迷った一つのポイントでもあります)。ですが、ここは覚悟を決めて目標地を浜岡に定め、早速宿を確保します。小心者の私は、こういう些細なところでいつも気持ちを奮い立たせながら自転車の旅を続けていたりします。
 ちなみに問題の大地震予測ですが、3日後、旅行最終日に関東地方震度4という地震が起こり、当たりともはずれとも判断の難しい結果になりました。そのころ私は自転車をこいでいて、揺れたことにちっとも気づかなかったのですが。

 さて。充分休憩をとって、一気に浜岡を目指します。本当は浜松市をゆっくり見物して行きたかったのですが、既に結構いい時間になってきていたので、今回は県道316号線から国道150へ抜けて市街地をショートカットすることにしました。途中、大柳町でNHKのラジオ送信所を見つけます。時間が押していたのですが、極近いところだったのでつい寄り道してしまいました(笑)。
 選んだコースは、予想通り大変走りやすいものでした。アップダウンもカーブもほとんどありません。単調ではありますが、快適です。しかし日が暮れてくると自転車の立場は弱くなってきます。海岸線沿いの半ばバイパスコースなので、街灯も少なく、少し心細いものがあります。途中、太田川を越えたところで「太平洋岸自転車道」と書かれた標識を見つけ、照明は少なくとも交通量の多くない走りやすい直線コースが望めるかもと期待して国道から更に海岸側に曲がってみたのですが、残念ながら期待したようなコースを見つけることは出来ませんでした。というか、どれがその自転車道なのか、よく分からんのです。もう少し分かりやすい標識は出来ないものでしょうか? こういう半端な標識があると、せっかくちゃんと整備されたところでも標識を信用できずに自転車道を利用する気になれず、もったいないです。まだまだ自転車道の認知はこんなもんなのかな、とがっかりしました(後に見た関東エリアのツーリングマップルには最新版だけあってこれがちゃんと記載されていて、これを見てれば迷わず自転車道に乗れたのかもしれませんが)。仕方なく国道に戻って、東進を続けます。暗い夜道、大東町浜野のあたりでスピードを落としているとき、うっかり道路の段差にタイヤを取られてすっ転んでしまいました。車道側に。すぐに体勢を立て直せたので良かったですが、あの時後ろから車が来ていたらアウトだったでしょうね…。怖い怖い…。
 地図では途中に温泉施設があるようなことが書かれていたので、あわよくばと期待していたのですが、もうお空がすっかり暗くなってしまっていて、それを見つけるどころでなかったのが残念でした。

 心細いながらも20時前には浜岡の町に到着。国道150号線からはまさに自動車道を降りる感じで町に入って行きます。やっぱバイパスなんですよね…。町役場の外柵にこのような横断幕がかかってました。なるほど、そういう使い方にはぴったりなコースです。自分も走ってきた道でどんなレースが行われたのか気になりますね。
 浜岡は思っていたよりも小さな町だったのだけれど、この時間でも開いている飲食店などがちょこちょこ点在していて、そこそこ住みよい町なのかな、と感じました。
 お宿は、どこかの企業の研修施設を一般利用に供しているところのようで、ロケーションが裏通りにあって見つけるのに少し苦労しました。地元のおじさんに尋ねても「知らないなぁ…もしかして、あそこのことかなぁ?」ってな具合で。でも、助かりました。教えてもらえてなかったら、もうしばらく探し回っていたと思います。おじさん、ありがとう。夕食はどこかお店に入るつもりだったのですが、疲れてもいたので探すのが面倒になって、結局コンビニ弁当で済ませてしまいました。

 今回「時間が…」という言葉を繰り返していますが、どうも日を追う毎に日暮れが早くなっているような印象なのです。秋の日はつるべ落としと申しますが、それにしたって日に日に。東向きに走っていることも、そういう印象を強める一要因なのでしょうか……。

10:00
12:05
豊橋駅前(キャリア修理)
12:45
豊橋デニーズ(食事)
13:40
16:00
浜松市若林ガスト(休憩)
17:00
19:36
浜岡町着
20:00
ホテルJASSチェックイン

2003/11/24 記


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