能書き

 2003年7月。仕事の人事異動で東京勤務となりました。自ずからねぐらも移します。土地に不案内なのと時間がないのとで住居は会社が提示してくれた物件を鵜呑みしたのですが、提示条件の中に不穏な文字が…。
『自転車禁止』
 ……おい(汗)。
 建物周辺に自転車を置くスペースがないと言うのです。「俺から自転車を取り上げるってのか〜!?」と喚いても如何ともならず。何しろ全く知らない土地なので、一先ずは愛車を実家に引き上げておいて、入居後周辺での置き場確保を図ることにしました。幸い最寄りの駅前に定期契約出来る自転車預かり所があり、案外簡単に懸案は解消されました。さぁ、やっと自転車を持ち込むことが出来ます。

 さて。ここでちょっと考えてしまいました。東京で乗る自転車は、長年長距離を一緒してきた愛車を持ち込むのか、それとも新天地で新たな相棒を探すのか。いろいろ考え、一時は後者に傾いた(場合によってはタウンユースの折り畳みでも、とも思った)のですが、愛車はまだまだ乗れる。普段それほど可愛がって手入れしたりはしていないけれども、出来ればへたるまで一緒したい。関東の知人にだって、他の自転車じゃない、こいつに乗った姿で見てもらいたい。やはり前者だろう、ということになりました。
 そんなことを考えている中で、ムクムクと様々な思いが沸き上がり、一つの方向に向かって収斂し始めます。「そういやぁ、長距離自転車旅行しばらくごぶさたしてるなぁ」「それ以前に、もう随分愛車に乗ってやってないなぁ(汗)」「最近運動不足だなぁ(笑)」「学生時代に和歌山から東京まで走ったことがあったよな。一週間の行程だった」「一週間なら長期休暇(夏休み)を活用するのに丁度いい」「どうせ愛車を東京まで運ぶんだよな」「運ぶにしたって、やっかいだなぁ。片道だから車は便利悪いし、電車持ち込みは大変だし。船か。あるいは運送屋に頼むのか……なんか無駄やなぁ…」「まだ東京を起点にした旅先も考えてないしな」「丁度ええやん。乗って行ってしまえ!」ってなわけです(笑)。

 実に9年ぶりですよ!(前回は1994年) それだけ年齢も重ねてますし、それ以上にこの2〜3年はちょっと自転車旅行を控えめにしていたものだから足がすっかり鈍っていて、走破出来るかどうかは微妙なんですがね…。特に箱根越えが心配です。まぁでも、やってみないと分かりませんからね。
 元々は東京での街乗りと、場合によっては通勤にでも、というのが自転車利用の主目的なのですが、初めて得た関東圏の拠点:東京を起点に、出来れば少しは足を延ばしたいものです。年齢的にもこれからそういうことが次第に億劫になってくるだろうと思いますが、どうでしょうね…。今回はその第一歩ということです。

計画

 前回1994年の時は大学の友人と二人での旅だったので、合流のため大阪〜鈴鹿峠経由のコース(全く国道1号線沿い)を取りました。しかし今回は一人旅です。何も好んで騒々しい(何やら虎も騒いでいるらしい 笑)大阪を経由しなくてもいいよな、ということで、紀の川沿いを奈良に抜け、念願の山の辺の道観光でも楽しみつつ名阪国道沿いに三重・亀山へ出るコースを想定しました。これが吉と出るか凶と出るか…。
 亀山から先は前回同様、概ね国道1号線沿いをひた走ります。
 日程は、6泊7日程度を想定しています。宿泊は極力野営は避け、宿を取る方針です(いろんな意味で、野営を繰り返せる年齢ではなくなって来ていますから…)。ただ、宿の確保はどうしても当日になってしまいがちなので、どうしても探せなければ野営も止む無し、です。
 一緒する愛車は大阪在住期間の終盤一年くらいほとんど乗ってやれておらず、見た目にもだいぶ疲れてしまってます。久々の長距離行にあたり、ざっとオーバーホールしてもらうことにしました。愛車を買った時の実家の近所の自転車屋さんにお願いして、長年の使用でグジュグジュになったハンドルテープとブレーキレバーのカバー、それにひびが入って傷みが見える後輪のタイヤを替えてもらいます。何分発注主が東京にいたりしてうまくやり取りが出来ず、納車が遅れてあわや旅行中止かと思いましたが、どうにか出発には間に合いました(前日納車 笑)。お店の先代があちこち磨いてくださって、すっかり綺麗になって帰ってきました。
 さぁ。いよいよ出発です。

2003/09/14 記
2003/11/24 加筆


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